2018年4月のページ
2018年
4月
30日
月
苦労と葛藤を一番したのは誰?
ここ20数年、低迷していた我が母校の奈良県天理高校柔道部が最近、復活の兆しを見せて栄光を取り戻しつつある。日本武道館にて毎年開催されている春の全国高等学校柔道選手権大会で、本年度は決勝戦まで進出し、結果は大将戦で国士舘高校に惜敗、準優勝ではあったが、春の高校柔道選手権史上に残るであろう名勝負を展開してくれたのである。
私は仕事の都合で日本武道館へ応援に駆け付ける事が出来なかったが、当日は「プチOB会」も兼ねて、会場に行けなかった地元泉州の近隣OBが私を含めて7名T先輩宅に集まった。テレビ放送を見ながら一喜一憂し、技の名前や蘊蓄を叫び合い、またテレビの中の選手たちが仕掛ける技に合わせて、私たちも着ている服が破れんばかりに同じ技をT先輩宅の居間で掛け合った。
テレビ放送が表彰式に差し掛かる頃には、オッサンOB一同は疲れ果て、ガソリンを補給するべく予約していた岸和田の小料理屋のお座敷に繰り出した。
遅くまで年甲斐もなく、若干の記憶も喪失しかけるほど飲んだが、さすがにここでは技は掛け合わなかった。(笑)
後輩たちが「天理柔道部復活」の兆しを見せてくれたおかげで、OB諸氏とも久しぶりに会えて、楽しく酒を酌み交わす事が出来た。
皆が集まると、会話はやはり学生時代の練習や寮生活の中での「苦労と葛藤」の想い出話となるのだが、そんな中でも今回は、「各学年で苦労と葛藤を一番した者は誰だろうか?」という話題に移行して行った。
私は即座に「選手・補欠メンバー入りせずに3年間を終えた生徒達」と答えた。すると集まっていた皆が言い方こそ違うが同じ趣旨のこと言い合った。
目標を全国優勝に置いている部であるから、言うまでもなく練習は大層厳しい。その練習を選手や補欠だけではなく、補欠入りしていない生徒も行う。
試合に出られるのはたった5人であるが、柔道というものは、この5人だけで練習をしていても強くなれない。
補欠入りを目指して大勢の部員が頑張れば、補欠はその座を奪われないようにそして選手入り出来るように更に努力する。選手も同じく補欠にその座を奪われないように一層努力する。
このように決して選手だけでは強くなれず、部全体の中での攻防から強くなっていくのである。言い換えれば選手の強さは補欠や補欠以外の者の強さも混在した上での強さである。
皆、一つでも上に登れるように頑張る。しかし次第に薄々と自分の実力が分かるようになり、3年生になる頃にはハッキリと自分の実力を知るだろう。
選手や補欠が頑張るのは当然として、補欠入り出来なかった部員たちが脱落せず選手と同じだけ頑張れるのは、一つでも上に登る!という向上心を最後まで持ち続けているからだろう。そして例え自分が試合に出られなくとも自分が所属する部や仲間が日本一になって欲しいと願う気持ちがあるからだろうと思う。
しかし、その心境に至るまでには苦労も葛藤も多かったはずである。不条理を感じることも多かったであろう。
けれども最後まで諦めず辛抱強く努力し続けた経験、自分の損得よりも全体の利益を優先した経験は、無自覚のうちにも人格形成に影響し、その後の人生にもプラスに作用するのではないだろうか。
2018年
4月
20日
金
労働時間
私は外出の無い日には、一般的な就労時間の2倍くらい(16時間)は優に机に向かっているような気がする。しかしこれくらいの時間を掛けないと一日の案件がすべて終了しない。「すぐ!すぐ!すぐ!」「今!今!今!」でも書いたように「せっかち」なので、その日の事はその日に終わらせないと気が済まない。
と言っても、よくよく振り返って考えてみれば、16時間ずっと集中して仕事をしているわけではなく、疲れて来ると休憩の時間も増えて来るし、仕事のスピードも落ちて来る。
手を止めて、目の前の仕事とは違う事を考え込んで思考があちこち飛んだり、書類作りの途中にネットで調べ物をして、そのままネットを見続けてしまったりする。
もっと集中して取り組めば16時間も机に向かう必要は無いのである。
それでも私が机に向かってしまうのは何故なのだろう?と自問し、出た答えは「不安だから」である。いつも仕事に対して危機感を感じ、不安だから時間を重ねているように思う。
経営者である私が、人と同じだけしか仕事をしてないと会社は下向きになってしまうのではないか?と不安に襲われる。「これだけ頑張っているのだから大丈夫。努力は実る。」と思いたいから、効率が悪いのを分かっていても、いつまでも机に向かってしまっているような気がする。
こういう性分は変えられるものではないから、きっと私はこの先もこんな感じで人生を送っていくのだろうと思うが、社員に対する思いは別である。私と同じ働き方をして欲しいとは思っていない。
働き方改革や残業ゼロが喧伝されている時代である。これからはもっと合理的に効率よく仕事をして、仕事が終われば自分の時間を楽しむ時代になって行くのだろう。
過労で疲れた顔でいるより、リフレッシュして翌日は元気よく働いてくれる方が良い。
それに仕事以外のことが仕事のヒントになることもある。例えば同業者から得る知識や経験は似たり寄ったりな事が多く、同業から得たものだけでは「伸びしろ」が限界に達してしまいやすい。しかし異業種の方との会話がヒントになって問題解決が出来たり、新たな創造が出来たりする。
だから社員に対して、私のように机に齧り付いていて欲しいとは思わない。
かといってしなければならない仕事を放ったまま後回しにしていれば、付けが回って来て、いずれ会社の存続にも関わる。
生産性を上げて残業を減らすには、Alやロボットといった生産性を上げるためのツールを今後導入していかなければならないだろう。出張を少なくするためにWEB会議の導入なども良いだろう。
すでに行っているものでは、昔はFAXで送っていた仕様書を先方が自由に当社のアプリからダウンロードできるようにした。また(一部の部屋だが)当社のサ高住においては「人感センサー」「温湿度センサー」で入居者様の状態を把握できる最新式の見守りシステム機器の導入を行っている。
携帯電話が無い時代は不便であったが、出先にまで仕事の電話が追いかけて来ることは無かった。便利になった分、余計に忙しくなったと感じる。出張を少なくするためにWEB会議を導入したら会議の回数が途端に増えて逆に忙しくなった!なんて笑えない話もありそうだなぁ~と想像する。
2018年
4月
12日
木
どぶ川の神様
当社の製造部門の繁忙期のピークは1月から年度末までである。
目が回る忙しさの年度末が過ぎて新年度を迎えると、それまではピリピリとしていた空気が幾分か緩和されて、皆ホッと一息つく余裕が生まれて来る。
時間的にも気持ち的にも余裕が出来るこの時期になると、私には毎日「掃除の神様」が降りて来るのである。笑
あくまでも私は「掃除の神様が私に降りて来てくださる」と考えているのだが、従業員の間では私の事を「掃除の悪魔に取り憑かれた社長」と呼んでいるらしい。
私にとってこの時期は、掃除し過ぎによる全身を襲う筋肉痛とガサガサの指先を除けば、清々しい気持ちで毎日を過ごせる最高に嬉しい時期でもある。しかし従業員諸氏にとっては年度末の繁忙期よりも大変な時期かもしれない。
まず今年の「掃除の神様」は工場のど真ん中を南北に二分して流れるドブ川に舞い降りた。4月4日の朝にドブ川の上に渡した鉄板の隙間から「掃除!掃除!掃除!」と聞こえて来たような気がした。こうなると私はそれ以外の場所を含めて、約3,000坪ある敷地内のすべてを徹底的に掃除しないと気が済まなくなる。お得意様に迷惑を掛けない範囲で工場をストップして、数日間に渡り従業員をほぼ全員、掃除に投入するのである。
目指す掃除のグレードは「新築当時の美しさの再現と維持」である。
常日頃の掃除方法の詳細は以前にも記載したので省くが、毎日徹底した掃除をした上で、この期間は「超特大 大掃除期間」と銘打って、自らも先頭に立って、徹底的な清掃を目指すのである。
今年度の掃除始めは私が長靴を履いてドブ川に入り、溜まったゴミを取り除いた後、デッキブラシを使って川底を磨き上げた。他にも数え上げればキリが無いが、工場の主要外壁部分のペンキの塗り替え、社内各所の周辺道路の高圧洗浄、本社及び全倉庫・全駐車場周辺の草抜きと防草マットの張り替え、フラワーホームも含めたグループ全体の植栽の整備と植え替え、各社屋の全玄関とトイレの防汚・抗菌コーティングの塗り直し等その他である。
余談だが先般、約10年間乗った私専用の社用車を買い替えたが、ほぼ新車のグレードを10年間保ち続けた。また本社屋も内外装含めて改築後約8年経過しているが、未だに初めて来社された方は新築直後と見間違えられる。
ところで大掃除の理由を「掃除の神様が降りて来たから」と超自然的なことを綴ったが、合理的な理由がもちろんある。
先ずドブ川の掃除はこの時期に綺麗にすると夏場の蚊の発生を極端に抑えられるし、海に近い環境にある当社においてはペンキを塗り替えることにより鉄骨部分の潮風に依る錆や腐食を防げる。また周辺道路の高圧洗浄は社内への異物混入の防止対策になるし、防草マットにおいては花粉症対策も兼ねている。
また、一般社会では「見た目より中身」と言われるが、ビジネスの世界では先ず「第一印象」が良くなければそこで縁が切れてしまい、中身を知ってもらう段階まで行けないのではないだろうか?掃除の行き届いていない不潔な会社は、第一印象で落とされてしまうだろう。掃除がいい加減だと一事が万事で、他の部分までいい加減なのではないかと疑ってしまうものだ。
前にも書いたが仕事は生活(人生)の土俵でもある。人生の土俵でもある職場は常に清浄に保ちたい。
(関連記事:地獄掃除>>:地獄掃除のその上>>)