私達を取り巻く経営環境と当社の取組みについて

2023年(令和5年) 新年あけましておめでとうございます。  

旧年中は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございました。本年も、より一層の精進を重ねて行く所存でございます。変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、重ねてよろしくお願い申し上げます。

 さて新年らしく、今私達を取り巻く経営環境と当社の取組みについて私なりに分かりやすく整理してみたいと思います。

 

◇2006年 ESG

2006年、ESGが世界の投資に組み込まれ始めました。

ESGとはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の3要素の英語の頭文字を並べたものです。

企業が長期的に成長し続けるためには、環境・社会・企業統治の課題への取組みが必要で、その課題にしっかり取り組んでいる企業は、受益者(最終投資家)に長期的な利益をもたらすはずなので、そのような企業に投資をして行こうというような考え方です。

この考え方により、従来の短期的な利益の追求型の経営から、中長期的な視点での経営に世の中はシフトし始めます。

 

大変遅ればせながら、そして大変恥ずかしながら、私がESGという言葉を知ったのは2018年です。しかし当社の企業理念である三方良し(お客様の満足・従業員の幸せ・社会貢献)の実現の為に、すでに行っていた取り組みの多くが、そのままESGに繋がることに気づき2019年から本格的にESGの取り組みをスタートさせました。(関連ブログ:ESG課題へ取り組んで参ります>>

 

◇2015年 SDGs

2015年、国連が、持続可能な開発目標SDGsを策定しました。

この年から、世界最大級の機関投資家である日本の年金基金はESG投資の原則で投資するようになりました。年金こそ100年先を見据えて運用する必要があるとの判断です。

つまりESGやSDGsに取り組んでいる企業は投資してもらいやすく、もっと言うとESGやSDGsに取り組んでいない企業は投資撤退されるリスクまで出て来ました。

 

当初私は「これは大企業向けの取り組みだ」と思い込んでいましたが、自分の考えが間違っていたことに気づきました。

そこで当社でも2020年よりSDGsに取り組み始めました。

ESGで取り組んでいたことが、そのままSDGsでも役に立ちました。(当社の取組み>>

田舎の中小企業にしては早めに取り組んだお陰で、驚いたことに内閣府から官民連携のプラットフォームに参画しないかと、お声掛けをいただけました。(関連ブログ:内閣府からのメール>>

 

◇2020年 カーボンニュートラル

2020年、菅元首相が所信表明演説の中で、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を宣言しました(カーボンニュートラルとは、人間活動によって排出されるCO2と、森林などによって吸収されるCO2量の合計の差し引きをゼロにする考え方)。

もちろん日本だけの取組みではなく、世界がカーボンニュートラル実現を前提として動きだしています。SDGsでも「気候変動への具体的なアクション」が目標の中に明示されています。ESGの観点からも投資家が最も危惧しているのが気候変動のリスクです。

また大企業では自社だけではなく、サプライチェーン全体のCO2排出量を把握し削減する流れに進んでいます。良い技術があっても再エネ100%で製造しなければ、大企業から相手にされなくなる世界になって行くと思います。

 

そこで当社では、従来の太陽光発電に加えて、本年1月1日より非化石証書を使用した電気を調達することにより、本社及び工場で使用する電力は100%再生可能エネルギーを実現します。現在、蓄電池導入の話も進んでいます。

 

◇作って捨てる経済から、使い続ける循環型経済への移行

現在77億人の世界人口は2050年には97億人まで増加する見込みです。それにより資源不足・食料不足・水不足が叫ばれています。

そのため大量生産・大量消費のビジネスは、これからの時代に合わなくなります。

これまでの作って捨てる「直線型経済」から使い続ける「循環型経済」(サーキュラー・エコノミー)へ世界は移行し始めています。

 

当社では以前より、災害備蓄用毛布・リネンサプライ業務用毛布を単に販売するだけではなく、使用済の毛布のクリーニングや再真空パックを行っておりますが、それに加え、昨年より新たな取り組み「ECO PROJECT>>」を開始いたしました。

不要になった毛布を特殊専用機で綿状に加工し、再生綿とつなぎの綿を糸にし、その糸で港湾土木用バンカーマット(サスティブフェルト>>)や、ふんわりとした毛布(サスティブブランケット>>)を製造します。不要になった毛布を100%再利用する世界初のサスティナブル技術です。

省資源ですし、焼却処分した場合に比べ、CO2の排出を大幅に削減でき、カーボンニュートラル実現への貢献にもつながります。

 

◇「エシカル消費」の普及

エシカル消費とは、自社や自分の損得だけを考えるのではなく、環境や社会や人などに配慮されて製造された商品を選んで購入する消費活動のことです。

SDGsの12番目のゴール、「つくる責任 つかう責任」の「つかう責任」の方に関連する消費側の取り組みです。

つまりこれからは今まで以上に、サスティナブル(環境・社会・人などに配慮したモノづくり)が、その商品の強みになるということです。

自社の商品の強みが「安さ」だと、もっと安い商品が出ると簡単にそちらにお客様を奪われますし、安さでは中国などの海外製品には勝てません。

まだ現在は日本の一般消費者の意識は高くはないですが、SDGsという言葉が小学生にも浸透した現状を見ると、エシカル消費は今後確実に増えて行くと思います。

企業や自治体も物品購入時にはエシカルを意識した購入が求められるようになるでしょう。

環境に配慮した商品を優先的に購入する「グリーン購入」というものが既にありますが、それの拡大版ですね。

エシカル消費は、企業や自治体の消費活動のなかで社会貢献ができます。また購入した商品を通して「われわれはサスティナブルな企業・自治体だ」と、消費者や取引先や市民にアピールすることが出来ます。

世界最大級の宿泊予約サイトの調査によると、81%の旅行者が「サスティナブルを重要視する」と答えています。

 

そこで当社では、先述したリサイクル毛布を選んで購入される企業(ホテル事業者など)はサスティナブルを重視している企業であることを、実際に商品を使用するエンドユーザーにアピール出来るように、毛布のタグに工夫をしています。

 

◇地震・台風・感染症・システムトラブル

2020年、新型コロナが発生し、だれも想像していなかった世界が唐突にやって来ました。当社は大丈夫でしたが操業停止に追い込まれた企業も少なくないと思います。

また地球温暖化による気候変動で台風が大型化しているという説もあります。当社も2018年の台風21号では倉庫2棟が全壊及び工場各所の屋根が吹き飛ばされるなど大きな被害が発生しました。(関連ブログ:台風21号>>

事業をしている以上、さまざまな脅威があり、避けては通れない場合もあります。

 

そこで当社では、地震・洪水・台風などの自然災害をはじめ、システムトラブル・感染症の流行・停電・火災といった潜在的な脅威に備えて、効率的かつ効果的な対策で事業を継続させ、被害にあった場合でも早期復旧を図ることが出来るシステムを構築し、2021年に国際規格「ISO22301」事業継続マネジメントシステムの認証を取得いたしました(くわしく見る>>)。(関連ブログ:事業継続マネジメントシステムを構築する>>

 

◇大変だけど、進む方向は明確な現代の経営

良い商品をコツコツ作っていればそれで良かった時代から比べると、企業に求められることや取り組まなければならないことが膨大で、大変な時代になってしまったなぁと溜息が出る日も正直あります。

しかし良い点もあります。それは、紆余曲折はあるでしょうがSDGsにしてもカーボンニュートラルにしても世界各国で合意した上での取り組みですから、社会がどちらの方向に進んでいくのか明確なことです。

大企業は今、自社だけではなくサプライチェーン全体で社会的責任を果たすことを株主や社会から求められています。

ですから中小零細企業であってもSDGsやカーボンニュートラルに取り組まなければ、大企業や銀行やお得意先から選ばれなくなり、生き残れない時代がやって来ているということです。

 

◇ごあいさつ

今年の1月6日で創業70周年を迎えます。

これも皆々様の多大なるご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

これを機に社員一同決意を新たに、一層の努力をして皆様のご愛顧にお応えしていく所存です。私自身もまだまだ先頭に立って日々最善を尽くして参ります。

今後とも、なにとぞご支援ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

<お知らせ>

【4年連続】東京商工リサーチ 優良企業情報誌「ALevel」2024年度版に掲載されました。

4年連続で掲載していただく事になり、大変光栄に存じます。これも皆様のご支援ご高配の賜物と心より感謝申し上げます。

くわしくはコチラ>>