2020年9月

2020年

9月

22日

菅政権下の経営環境について整理する

【菅さんの実績】

菅政権が誕生しました。

官房長官時代の会見の様子から実直で控え目なイメージを、勝手ながら持っていたのですが、詳しく知れば数々の実績を上げて来られた剛腕なお方でした。

数例を上げると、

・外国人観光客を増やすため、法務省と警察庁を説得してビザ緩和

・財務省に免税品の対象を拡大させた

・ふるさと納税を発案

・これまで洪水対策の事前放流が行えるのは国土交通省の治水ダムだけだったが、経済産業省の電力ダムや農水省の農業用ダムも事前放流できるようにした etc・・・

 

【一度決めたことは反対されてもやり抜く人物】

菅さんが、ふるさと納税を提案した時、どこに行っても「そんなことは不可能だ」と相手にされなかったそうです。

「とにかく出来ない理屈を並べるんです。色々言えば私が諦めるんじゃないかと思って色々な理屈を並べるんです」とインタビュアーに話されていました。

そうしてようやく始まったふるさと納税は、なぜか使いづらいように設計されていたそうです。その為、当初は利用する人が少なかったのですが、その後も菅さんの肝いりで改革され、ふるさと納税の現在の浸透ぶりは皆さんの知るところです。

 

【地銀の再編】

菅さんは地銀の再編にも言及しています。

超低金利が長期化していますし、特に地方の人口は減少して行っています。2025年までに日本企業の3分の1に当たる127万社が後継者不足などで廃業すると言われています。数少ない成功している企業は東京に出て行きます。(リモートワークで一極集中は変わる?!)。そうして企業数が減ると貸出先が減ります。

地銀の再編が進んで1県1行単独になっても不採算になると予想されている県が沢山あります。

銀行の数が減るのは企業にとってはデメリットです。

地方銀行同士が合併し、市場占有率が高まっても独占禁止法の適用除外とする特例法もすでに成立しています。

 

【中小企業の再編】

地銀の再編にともない、切り捨てられる中小企業も出て来るでしょう。菅さんは中小企業の再編を促進すると表明しています。

日本のGDPは世界第3位なのに、労働生産性(従業員1人当たり、または1時間当たりに生み出す成果)は先進国の中で最下位。イタリア、スペイン、ギリシャよりも下です。

ITやAIの導入やオートメーション化、働き方改革の推進などで、政府は中小企業の労働生産性向上を図っていますが、経済産業省が中小企業に向けてM&Aのハンドブック>>

(日付を見ると本年の9月4日に発行)を出すぐらいですから、M&Aを中小企業にも浸透させて「規模の経済」で日本の労働生産性の向上を図るのでしょう。

日本は輸出大国のようなイメージがありますが、実際の輸出状況は対GDP比率で、わずか16%ほどです。当社も原料を輸入することはありますが、輸出することは稀にしかありません。中小企業にとって輸出入とくに輸出はハードルが高いのです。

去年1年間で日本の人口は50万人自然減しました。2050年には日本の人口は25%減少すると総務省が予測しています。

国内需要は年々減少して行くので、M&Aで企業の規模を拡大し、海外輸出を増やし、労働生産性を上げるのが中小企業の生き残り戦略だと唱える声も多いです。

とにかく「労働生産性」という言葉を毎日のように新聞などで目にします。

当社は製造事業で重度障がい者を多数雇用しており、柔軟性を重視して機械化が遅れており>>、介護事業も営んでいます。そんな当社にとって労働生産性という言葉は耳が痛いです。

しかし、そこには労働生産性の数値に反映されない価値や効果も数々あるのです。

とはいえ、世の中の大きな流れを把握していなければ時代に置いていかれます。

そのためにも当ブログで、菅政権下の経営環境について整理してみました。