多様な意見の中での経営者の意思決定プロセス

当社は多角経営で、業種で言えば製造業とサービス業を営んでいます。また当社には4つの事業部があり、さまざまな事業を行っています。

そのため色々な職種があり、よって前回のブログで書いたとおり多様な人材が勤めてくれています。

同質な組織に比べ、多様性のある組織は経営環境の変化に適応しやすいという利点がありますが、多様性があるゆえに意見が相違しやすかったり、多様な意識や価値観をまとめるのが難しかったりする場合があります。

そんな時の経営者の意思決定プロセスについて書いてみようと思います。

 

当社では各事業部長そして役員も含めて 8名ほどで会議することが多いです。

まず会議で重要なのは、皆が自分の意見を安心して発言出来ることだと思います。

事業部の垣根も、立場の上下も関係なく、何でも言いやすい環境づくりを心掛けています。

心理的安全性が低い状態では、人は「バカな意見だと思われたくない」「そんな事も知らないのかと思われなくない」など自己防衛の心理に陥り、同調した意見しか言えなくなります。

立場が上の人達が偉そうにしていては無用な緊張感を抱かせてしまうので、会議の際、ソファーセットに座るのは社員達で、私や専務そして税理士・コンサルの先生方はパイプ椅子に座ります。

会議の冒頭、「みんな揃った?じゃぁ解散!」と親父ギャグを私が飛ばして、皆の苦笑や失笑を買ってから始まります。一番バカな事を言うのが社長の私です。

 

出て来た意見を頭ごなしに否定したり無理解でいたりすると、次第に意見は出て来なくなり、そうなると私自身、多様な視点から物事を判断することが出来なくなってしまいます。

そのため、ピンと来なかったり、よく分からない意見であっても、社員みんなの当社に入社する前にそれまで過ごしてきた個々の背景や、年代による社会環境や文化の違いなどに思いを馳せ、相手の考え方や価値観、その提案や意見の根底にどんな思いが込められているか、なるべく理解するように努めています。

 

多様な意識や価値観があるゆえに意見がまとまらないこともあります。

民主主義であれば多数決で決めるのでしょうが、多数派の意見が最適解とも限りませんし、ああだこうだと合意形成が出来るまで話し合っていては時間がかかり過ぎます。

意思決定のスピードこそ中小企業の強みですから、「君ならどうする?」と一人一人の意見を傾聴し、良いと思う点は最大限採用して、後は私の経験と経営感に基づいて、経営資源と社会情勢を加味して、最終案は私が組み立てて決めます。意思決定は早いです。

そこで必要なのが、意思決定をした者の説明責任です。

納得していない様子の社員にはとくに、私の計画や考え方をとことん話します。情報も共有します。

お互いヒートアップして夜遅くまで話し合い、最終的に笑顔で納得してもらったこともあります。

その逆に私の方が説得され「よし分かった。それじゃぁ1年間だけ君のやり方でやってみい。それで失敗したら俺のやり方に戻せよ」となった事もあります。(ちなみにその件は現在も彼のやり方で続いています)

 

経験はあるけれど、経営者も答を持っているわけではありません。

とくに現在のような変化のスピードが速い時代には、過去の経験や知識が役に立たない場合も多いです。

ですから朝令暮改の繰り返しが常々つきまといます。

政治でもそうですが朝令暮改は批判を受けやすいです。しかし始めてみなければ分からない事というのは多々あり、刻刻と状況が変わって行くこともあり、状況が変化していっているのに朝令暮改の批判を恐れて最初の計画のまま進んで行っては上手くいくはずがありません。

大きな妥協はしませんが小さい妥協や変更はどんどんします。つまり目的は妥協しませんが、そのために計画の変更はたびたびします。

 

自分がした意思決定が正解か不正解か。そこに捉われると間違えます。

臨機応変に常に見直しながら、自社が進んでいる道を社員の皆とともに自分達の手で正解にしていきたいと日々がんばっています。

<お知らせ>

【3年連続】東京商工リサーチ 優良企業情報誌「ALevel」2023年度版に掲載されました。3年連続で掲載していただく事になり、大変光栄に存じます。

これも皆様のご支援ご高配の賜物と心より感謝申し上げます。

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