ポストコロナの経営を考える

先般、国際規格ISO14001環境マネジメントシステムのサーベイランス審査(維持審査)がありました。

その中で、審査員の方より「ポストコロナにおける経営戦略と地球環境への配慮」についてインタビューを受けました。

今回のブログはそのインタビューで私が述べさせていただいたことや、現在考えていることなどを綴ってみようと思います。

 

<たえず見直し>

ポストコロナ時代の中小企業経営についてですが、企業をコロナ前の元の状態に戻すのではなく、新しい企業に作り変えて行ことう考えています。

2013年のブログ>>に「第二の座右の銘は、たえず見直し」と書いたように、日頃より「たえず見直し」は行っていますが、このコロナによる社会環境の変化は、「見直し」を最大値で行える絶好のタイミングだと思っています。

ちなみに会社HPにも掲載していますが、当社の「経営の基本方針>>」の1つが「聖域を設ける事無く、何事に対してもたえず見直しを行い、変わり続ける経営環境の変化に柔軟に対応します」です。

 

<まずは身近な小さいところから見直し>

小さな話になりますが、「数百円程度の小さな経費の削減でも、それを50ヵ所も100ヵ所も出来たら大きな改善になるから」と各事業部長へも見直しをお願いしました。

光熱費等の契約の見直し、備品の仕入れ先やリース契約の見直し、不良在庫やデッドスペースの整理など、小さいことからコツコツたえず見直しを行っています。

また、収益を改善させるには「土台づくり」が大切だと考え、ビジネスプロセス(業務手順・役割分担・業務ルール)のマネジメントを強化して行きたいと考えています。

 

<今ある資源を活用しながら変化する>

「新しい企業に作り変えて行く」と上記で申しましたが、中小企業は経営規模や予算面から考えて、大改革は出来ません。

今ある資源を活用して新しい商品を開発する、もしくは既存の商品でも売り方を変えるなどの戦略を取る方が、新たに製品や市場を開発するよりも低コストかつ低リスクで行うことが可能だと考えて日々思考しています。

過去に当社が行ったことを幾つか挙げてみます。

・女性のファッションの流行が変化し「肩パット」が売れなくなった。そこで肩パットの原料を使い「アイロン台の芯」にして販売。

・毛布の「製造」にクリーニングや真空パックなどの「サービス」の付加価値をつけた。

・災害備蓄用毛布で使用していた真空パックの機械を活用し、災害備蓄用の衛生用品(生理用品・おむつ)を販売。

 

<賛否両論の「選択と集中」>

長年唱えられ続け、賛否両論の「選択と集中」ですが、

自社の事業や商品について、フレームワークなどを活用しながら絞り込み、成長が見込める事業や商品には「身の丈を超えない範囲」で集中的に投資を行う戦略も行っています。

また当社の取扱商品の中には市場が縮小に向かっているものもありますので、そこに関しては自社の経営資源を活用できる周辺領域へ、無理のない範囲で投資軸を変えながら少しずつ業態転換を図っていきたいと考えています。

しかし選択と集中と言いましても、成長性や収益性やシェア率だけで取捨選択をしてしまうと、後で後悔することにもなりかねないです。

例えば取扱商品でもあるウール毛布ですが、一時は市場が縮小し、取扱をやめた同業他社が続出しました。その結果、細々と続けていた当社のシェアが拡大するなど、そういった事例も経験すると、選択と集中の難しさやリスクも感じます。

細々とでも取引を続けていれば「こんなの作れます?」「こんな商品あります?」など、仕事の提案や情報なども新たに入って来るので、お取引先との関係が切れてしまわないように慎重に精査する必要があると感じます。

 

<ストックビジネス&フロービジネス>

当社の現在の状況は、ストックビジネスでの売上が1割程度、フロービジネスでの売上が9割程度です。ストックビジネスについては当社シニア事業部の高齢者住宅事業や介護サービス事業等です。

泉南市という私が生まれ育った場所で地元に貢献出来るシニア事業に進出したいという思いの方が先で、2つのビジネスモデルの違いを意識していた訳ではありません。

しかし、後で気がついたらそれはストックビジネスの方に分類されるもので、フロービジネスとは違ってコロナ禍のような変化が激しい時にも外的要因を受けにくいモデルになっていることを改めて感じました。

製造業であっても販売後のサービスでストックビジネスを実現することは出来るのではないかと模索しています。

 

<デジタル化→DX化>

「デジタル化」と「DX化」が違う意味を持つ言葉だったとは最近知りました。正直言いまして苦手分野です。

ただアナログ→デジタル化→DX化は不可逆的に進んで行くでしょうし、生まれたときからインターネットが身近にある世代、「デジタルネイティブ」(※おおむね1990年以降に生まれた人)は今後増えて行く一方なのに対し、アナログ人間は減って行く一方です。

そう考えるとデジタル化に取り組まなければ、ビジネスの土俵に上がることも出来ない時代はそう遠くないうちに来そうです。

ただ、どんな時代になろうとも、お客様やお取引先と直接お会いして人間関係を深めることはやはり大切で、訪問や来社に関しては、デジタルとリアルの最適な配分を模索して行かなければならないと考えています。

 

<環境問題への取り組み>

CO2排出量削減のための太陽光発電の導入や、化学物質等の環境負荷低減のために次亜塩素酸水を使用したクリーニングの導入などを行っています。(その他の取り組みは、当社HP>>の「環境」の項目をご参照ください)

ISO14001やESGやSDGsが広く知られるようになり、ますます企業の環境問題への取組は重要視される時代になってきました。

利益のみを追求する資本主義経済を絶対視する価値観から抜け出し、「持続可能な未来の実現」に貢献する企業でなければ企業価値やその存在自体が危うくなり、逆に事業として社会課題の解決を目指す企業には、資金も消費者も集まる構造に変化してきています。

事実、当社ではESGやSDGsへの取組を開始して以降、到底、大阪の片田舎の中小企業では、お声がかかるはずもない所から声をかけて頂いており、社会が求めているものを知りそれに応えて行くことや、社会の潮流に乗って行くことの大切さを肌で感じています。

 

<歴史の教科書に載るような変化の時代>

数十年後の未来から「今」を振り返った時、ペストの流行により世界の中心が神から人間に替わったルネサンスや、18世紀の産業革命と同列に語られるほど、歴史の教科書に載るような大きな変化の時代の中に今私たちは居ると仰っている方がいました。

私もそう感じます。大変な時代です。30年経営者をやっていても、その経験値が通用しないようなことも多々あり、そのような中で日々、意思決定して行かなければなりません。

そのようなザマですが、レスポンスよく様々な経営戦略の試行錯誤を繰り返し、たえず見直しながら、時代に合った新しい企業に作り変えて行く所存です。

<お知らせ>

令和3年11月16日(火)に開催された泉南市商工会主催・泉南市後援の「優良勤続従業員表彰式」において、当社の社員2名が表彰され、賞状と記念品を頂きました。

くわしくはコチラ>>