大きなイタズラ

私は、とんでもない悪ガキだったので、数多くのイタズラをし、多くの方にご迷惑を掛けて来たが、今回はその中でも校長先生と謝罪に行くことになってしまったイタズラの話を書いてみようと思う。

 

神社の元宮が祀られている「天神の森」という場所が小学校の近くにある。防風林として植えられた松林を中心に、緑が広がる静かな森である。

小学3年生の時、同級生の男友達3人と私で、そこに落とし穴を作ることにした。

放課後、学校の用具室からスコップを盗み出した。もうその時点で楽しくて、スコップを肩に担いで意気揚々と現場に向かった。

森の道は舗装されていない土道だったので、小一時間でバスタブほどの大きさの落とし穴を掘ることができた。

皆で松の木にぶら下がって枝を折り、落とし穴に渡らせた。その上に用意していた新聞紙を広げ、土と枯れ葉を被せると見事に穴は隠れた。

テレビで見た落とし穴と同じようなものを、自分達の力で作れたことが誇らしく嬉しかった。

私たちはワクワクしながら木陰に隠れて人が通るのを待ったが、なかなか表れてくれなかった。

「あかんなぁ。誰も来―へん」

飽きて諦めかけたその時、木の陰から軽トラックが現れ、あっと言う間にこちらに向かって走って来た。驚いて皆で顔を見合わせた。その次の瞬間には「ガンッ」と大きな音を立ててトラックの左右の前輪は穴の中に落ちていた。

「うわぁ!!やばい!逃げろ!!!」そう叫んで一目散に逃げた。

息を切らして走りながら、鳩が豆鉄砲を食ったような先ほどの友人達の顔を思い出すと笑いが込み上げて来た。

落とし穴にトラックを落とした!

予想もしていなかった大きな戦果を得た気分で、皆で息を切らしながら笑った。

 

翌朝、全校集会が開かれ、校長先生が渋面で

「この学校の生徒の中で、落とし穴を掘ってトラックを落としたバカがいる。名乗り出なさい」と怒った。

当時の(今も?)樽井小学校は制服があったので、どうやら目撃者が小学校に連絡を入れたようだ。

バレたら、しこたま叱られることは分かっていたが子供ゆえ深刻には受け止めておらず、それより昨日の自分達の慌てふためきぶりを思い出すと可笑しくて、またその皆が今は素知らぬ振りを決め込んでいるのも可笑しくて、噴き出しそうになった。

一緒に穴を掘ったK君の後ろ姿に視線をやると、笑いを堪えて震えている肩が目に入った。同じく共犯者のT君もY君も肩を震わしながら、私を振り返った。

目が合った途端、私は我慢できず笑い声を上げた。我慢していた他の者も笑い崩れた。

その瞬間に何もかも悟った校長先生から「そこ、あとで校長室に来なさい」と呼び出されることになってしまった。

 

落とし穴に落ちたトラックは、近所のF石綿工業のものであった。

校長先生と担任のMしずよ先生と私達4人の計6名で会社に謝罪に行くことになった。

恐る恐る事務所に入ると、80歳ぐらいの白髪のお爺さんがソファーに座っていた。

その手には立派なステッキが握られているのが目に入った。今からそのステッキで順番に叩かれるのだろうかと、さすがに怖くなり萎れた。

校長先生に「謝りなさい」と言われ素直に「ごめんなさい」と頭を下げると、

お爺さんは「男の子は腕白な方が良いけど、でも次からは同じ事をしたらアカンで」と言って、4人全員に鉛筆を3本ずつ下さった。

以上が思い出である。

奈良の高校の寮に入る為に15歳で泉南を離れるまでは、私はこんな調子で地域の皆さまに迷惑を掛けまくった。今現在、私が会社を通して地域へ社会貢献活動>>をさせていただくのは、昔の罪滅ぼしもチョット入っているのである。

ちなみに一緒に穴を掘ったK君は、当社のフレスコ事業の代理店をしてくれており、今も一緒に仕事をしている。幼稚園から同じだったので、いつの間にやら50年以上のお付き合いである。