賞味期限切れのパン配布問題を経営者目線で考える

※ヤフーニュースより引用

「JR東海は、台風21号の影響により熱海駅で停車していた新幹線の乗客に、賞味期限が約2カ月過ぎたパンを配布したと発表した。乗客から、健康被害の訴えはないという。車内で夜を明かす乗客に、駅で備蓄する5年間保存できる缶詰入りのパン128食を配布したところ、乗客から賞味期限切れだとの指摘を受けた。パンの賞味期限は8月12日と20日で、15食を回収したという。」

 

最初に、今回の台風でお亡くなりになられた方に哀悼の意を表すると共に、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

ところで、上記のニュース記事には、なんと6000件以上ものコメントが殺到したらしい。皆それぞれに黙っていられない想いがあったのだろう。

そのコメントの中身は、賞味期限が切れていたことを責めるものより、JR東海側を擁護するコメントが多くみられたらしい。

経営者の立場でこの問題を考えると、まず備蓄用品の期限管理を怠っていた事に関しては、企業の責任として反省しなければならない点だろう。

次に、賞味期限が切れていることを、パンを配布する時点で乗務員が知っていたのか知らなかったのか?であるが、混乱のさなかだった事を思えば、気づいていなかった可能性が高いと思う。

しかし賞味期限が切れていた事を乗務員が知っていた場合であるが、管理ミスの発覚を恐れてパンの配布を取りやめるなどのバカな選択にならなかった事を私は称えたい。

配布する際に「賞味期限は切れていますが消費期限とは違うので大丈夫です。」のたった一言あれば、今回のような乗客からの指摘もなかったような気がする。

「いちいち言わなくても分かる」と思って説明を省略してしまうことから、トラブルは始まる。

「言わなくても分かるだろう」「こんな状況なのだから仕方ないだろう」と企業側に甘えが出てしまと、企業とお客様の関係も「人間関係」なのだから、お客様側は不満に感じてしまうものである。

このニュースの報道後、「JRはプレスリリースを出す必要は無かったのではないか?JRも乗客もマスコミも、賞味期限と消費期限の違いを理解していないから大ごとにしたのではないか?新幹線の車内で対応すれば済む話ではなかったのか」というニュース記事が追って出された。

賞味期限と消費期限の違いを世間が理解しているかどうかは、私は分からないが、

私がもしJRの経営者ならば、やはり今回の件はプレスリリースしている。

SNSが発達した今の時代、風評リスクは大きい。賞味期限切れ問題は健康被害が無かったとの事での重大性は低いが、「128名に配布」という事で数が多数である。

間違った情報が拡散されたり後手後手の対応をすると、企業の信用やブランド価値が低下する可能性があるので、リスク管理の為にも、積極的に公表を行った今回のJRの対応を私は支持する。

 

最後にオジサンの独り言を漏らすと、

昨今、日本の美徳である「侘び」「寂び」「控え目」「謙虚さ」が失われつつあると感じる出来事が多い。そんな現状を哀しく思う。

 

※侘び 足りないことであっても、それで満足すること

※寂び 淡々とした静かな気持ちであること