全部ダメでヘタだった!

「社長!申し訳ございません。皆は頑張ってくれたのに私は全然ダメで運営もヘタでした!」

これは、私に向かって頭を下げるS部長の言葉である。

話は遡る。

今月の頭、第3回フラワーホームカップ>>を開催させて頂いた。

フラワーホームカップは当社の「社会福祉の向上」と「地域社会への貢献」への取り組みの一環として、昨年度より開催させて頂いているグラウンドゴルフの大会で、毎回約200名の高齢者の方々が参加してくださっている。

本社の役員改選に伴い、フラワーホームカップの責任者を今回から変更することになり、丸竹NO,1のゴルフの腕前を見込んで、本社のS部長を責任者に指名した。

S部長は泉南市体育協会や泉南市グラウンドゴルフ協会の方々との打ち合わせや日程調整に始まり、大会までの約2か月の期間、日頃の業務の合間を縫うようにして東奔西走してくれた。

大会の前日、仕事が終わった後、もう外は真っ暗であったが、私はフト思い立って大会会場である、なみはやグラウンドに行ってみることにした。

横断幕を張る場所やテントのことなど諸々、もし本番で手間取ったら、段取り良く指示が出来るように下見をしておいた方が良いと思ったからである。

しかしグランウンド横の駐車場に車を近づけると、S部長の自家用車が止まっていた。

私はそのまま車を方向転換し、その場を後にした。

 

各協会の役員様やS部長を中心とし、またスタッフ一同の尽力により、事故もなく天候にも恵まれて、今大会も皆様に喜んでいただけた大会になったと思う。

翌日には一般参加者の方が、わざわざ本社の電話番号を調べてお礼の電話を下さった。

その後、S部長の労をねぎらおうと、私の机に呼んだわけであるが、彼は私の目の前に来るなり、

「社長!申し訳ございません。皆は頑張ってくれたのに私は全然ダメで運営もヘタでした!たぶん社長の思い描いていたような形にはなっていないし完璧ではなかったと思います。ほんとすみません。次回はもっと緻密に組み立てます。」というのである。

表情をみるとS部長が謙遜して言っているのではないことが即座に読み取れた。本当に心底落ち込んでいたのである。

私が大会全般を通して気付いた点を具体的に並べて、どれだけ「良かった」と評価しても、S部長の顔は曇ったままだった。

私が「そしたら、どこがダメだったのか?どこがヘタだったのか?」と聞いても、具体的に話せば責任転換や言い訳になってしまうと思ったのかもしれない、

彼は、しばらく押し黙った後「全部です!」と答えるだけであった。

私には分からなかったが、彼が思い描いた理想の形と比べて、満足いく結果じゃなかったのだろう。

実は私は「全部ダメでヘタだった!」と落ち込むS部長を見て、嬉しい気持ちになった。

もし彼が「妥協する人」であったなら落ち込むことも無かっただろう。「もっと良く出来たはずなのに」と思うからこそ、向上心があるからこそ、悔しくて落ち込むのだろう。

失敗して落ち込んでそのまま自信を失ってしまう人も居るが、彼はそうじゃない。落ち込む度に自分の中のマイナスな感情と戦い、省みて、考え、成長して行く人物である。

 

用意はしていたのだが今回は、あえてS部長にありがとうカード>>を手渡さなかった。

理由は、彼自身が満足していないのに、ありがとうカードを手渡すと失礼になるのでは?と思った。そして同時に、彼の今後の伸びしろに期待を掛けたからにほかならない!