先月17日、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が、参院本会議で全会一致で可決、成立した。
実に約70年ぶりの改定だそうである。
しかし少年法の規定はそのままで、あくまでも20歳以上が成人であり、19歳以下は未成年である。19歳以下の飲酒や喫煙は、健康被害と非行化防止の理由から見送ったとの記事を新聞の一面で見た。
私はこの記事を読んでいて、あることを思い出した。
話は約35年前に遡るが、天理高校3年生の時に同じクラスに、アメリカからの留学生がいた。
彼の名は(故)森下二郎ジェームスといい、アメリカ国籍でロス生まれロス育ち。そして実は彼の父親は、ロサンゼルスの天理道場創設者 森下 敬吾(7段)であった。
3年生で同じクラスになるとすぐ、彼の片言の日本語と、ほとんど通じない私の英語で話すようになり、一月も経たない内に打ち解けて、気が付くと仲間になっていた。
休み時間に毎日のように話題に上るのは、「アメリカの女の子」の話で、私の数々のアホな質問に彼は付き合ってくれた。笑
青春の1ページである。
彼は、私の18歳の誕生日が近いことを知ったある日、
アメリカでは18歳から選挙権があること、そして飲酒も喫煙も18歳から出来ることを教えてくれ、
「タチバナはアメリカだったら、モウおとなダヨ!」
と笑顔を向けてくれた。
その時、私は、日本では選挙権が貰えるのは20歳からだと話し、
「18歳で酒飲んで、タバコ吸えば、アナタもワタシもポリスにツカマリマス!」
と返答し、二人で大笑いした記憶がある。
このように親交を深めて行った訳だが、ただ一つ、私が何度聞いても答えてくれなかった質問があった。
それは
「アメリカ人の二郎ジェームスから見て、当校の英語の先生の発音はどうか?下手くそではないか?」という質問であった。
英語の成績が悪かった私は、本場の発音で話すジェームスが先生の発音に低評価を付けるのを聞いて痛快な気分を味わいたいという よこしまな心があったのだが、いつ聞いても、彼は眉を上げてニコリと笑うだけで、決して先生を否定するような事を最後まで言わなかった。
今思えば、彼はすでに精神が大人であり、反して私は、精神が恥ずかしいまでに子供であった。
「10代は投票するには未熟すぎる」「18歳では、まだ子供で正しい判断能力がない」
こうした意見があるのは、私の18歳の頃を考えれば、もっともだと思うし、ジェームスが見せた思慮から考えれば、18歳は未熟だという声に反対したくもなる。
色々と書き連ねたが、我が国では18歳から政治に参加出来るようになった。
若い人たちの間でも政治が身近なものになり、10代の意見を政治に反映するため若者の投票率が上がれば、将来を担う若者の為の長期的な政策を打ち出す人が増えてくるはずである。
こうなれば明るい日本の未来が見えてくだろう
と期待したいところである。