外国人旅行客VS日本人

先般、特急車ラピートに乗った時のことである。

この電車は、関西空港駅~難波駅を運行する特急のため、空港利用客が多い。

 

その日は、電車に乗り込んだ瞬間から車内の様子が違っていた。

入り口には大型荷物専用のスペースが設置されているにもかかわらず、多くのスーツケースが乱雑に放りだされており、通ることさえ儘ならない。

やっとの思いで客室に入ると、ほぼ満席状態の車内は戦争でも起こっているのか?!と疑いたくなるほどの大声が飛び交っている。

圧倒されながら自分の席に腰を下ろし様子を伺ってみると、どうやら乗客の多くが外国人観光客であるらしかった。車内のアナウンスも聞こえないほどの大声で喋り続け、全席指定の車内を何人もの大人たちが気まぐれに歩き回る。

あまりの傍若無人ぶりとマナーの悪さに、時間が経つにつれて益々苛立ちが募って来た。

両指で耳栓をして目を閉じ、イライラをグッと堪えているのがやっとの状態であった。

 

難波に到着したときに、事件は起こった。

乱雑に置かれていた多数のスーツケースが通路を塞いだのと、外国人観光客が我先に下車しようと同時に出口付近に殺到したせいで、車内は混乱し前に進めないのである。

ジリジリしながら待っていたが、下車出来ない。

向かっ腹を立てていたところに加え、とどめを刺すようなこの事態・・・。

その時である!

「このクソボケ!さっさと、のかんかー!!」「そうや!早よせいゃコラァァ!!」

私の前にいた日本人男性たちが、外国人観光客たちに向かって罵声を浴びせたのである。

幸い、外国人には言葉の意味が通じなかったようで喧嘩などが起こることはなかったが、私は日本人男性の罵声を聞いて、冷水を浴びせられたような気分になり、頭に上っていた血が一瞬にして冷えた。

自分の愚かしい姿を、鏡でまざまざ見せ付けられたような気がしたのである。

罵声を上げる男性を見て、なんてマナーの悪い恥ずかしい人だろうか!?と思った。しかし下車がもっと遅れていたら、罵声を上げていたのは私かもしれなかった。

『人の振り見て我が振り直せ』とは、まさにこの事である。

 

私が子供の頃には、外国人を見かけることは1年に1回も無かった。

しかし関西国際空港が開港し、2011年にビザ発給要件が緩和されてから、とても多くの外国人を見かけるようになった。政府は東京オリンピックの2020年までに、外国人旅行者を現在の倍の年間2,000万人に増やす目標を立てている。

文化も習慣も国民性も違う国の人たちが、これから益々大勢、日本にやって来る。

我々一般人レベルでも、これからもっと外国人と接する機会が多くなるだろう。

 

日本人と外国人の両者が、今よりも少し「お・も・い・や・り」を持つことが出来れば、たとえ文化や習慣が違っても、もうすこし理解し合えるようになるだろう・・・と自省しながら今回のブログを綴った。