決算書と経営戦略

当社は半期に一度決算を行っている。

会社法や税法で決められている決算は、当社のような中小企業は年に1回だけで良いのに、半期に一度 決算を行うとなると、そのぶん時間と手間が余計にかかる。しかし決算は、人間ドックの診察結果表のようなものなので、不安症の私は、自社の健康状態や体力を、的確に把握しておきたいのである。

 

ところで中小企業の企画経営とは、経営者として自分自身が立てた経営戦略をいかに遂行していくかにある。そしてこれを行動に移した結果が決算書の数字となって表れてくるので、その数字を精査し、自身の経営戦略の結果もしくは途中結果を検証することが必要不可欠である。

それにより、「よし!このままこの戦略を続けていけば良い」という時もあれば、軌道修正が必要になる時もある。もしくは、その戦略自体を抜本的に見直さなければならない場合もある。

半期に1度のペースで人間ドックを受診(決算)していれば、それだけ早く、弱っている部分を発見でき、早期に改善することが出来る。

もちろん経営は、中長期的な視野を持たねばならず、短期的な数字に左右されて経営戦略をコロコロ変えて良いわけではない。

自社の現状をしっかり把握した上で、広く長い視野で、「たえずの見直し」と「次の一手」を最重要課題として考える。

それが継続的な繁栄を創り出すためには、必要不可欠なのではないだろうか。

 

また当社では、確定決算の時には、税務署印の押された決算書類を、要望がなくても取引先様等に送付している。

たとえ業績が芳しくない年であったとしても、それを積極的に開示することで、信用を得ることができ、次に繋げられると考えている。

 

決算書は税務署や銀行に提出するためだけのものではない。

自社の企業経営の見直すべき点と、先の予測、次の戦略、それらについてのヒントが隠されている羅針盤のようなものである。

だから事業の舵取り役である経営者は、「景気動向」、「経営環境」、「顧客志向」という3つの大海の「現状の把握」と「その先の予測」を行いながら、神経を集中させて羅針盤と向き合い、自社が進むべき正しい道を見つけ出さなければならないのである。