私の大きな勘違い

本年も残すところ後僅かとなりました。公私に渡り、何かと御厚情を賜りました由、心より御礼申し上げる次第であります。また来る平成26年も、重ねて御厚情の程、伏してお願い申し上げる次第であります。
一年間の反省の意味を込めて、今年最後のブログは、「私の大きな勘違い」で締め括らせて頂こうと思います。


今考えれば嗤ってしまうのだが、中学3年生の時の私は厚かましくも「俺は日本一柔道が強い」と本気で思っていた。
私の周りには私より強い者が居なかったし、大人にも勝った。
だから「全国大会で優勝出来なかったのは、たまたま運が悪かっただけで、本来の実力で言えば、俺がやはり日本一だ。」と自信を持っていた。
そんな私がスカウトを受け、天理高校柔道部に入学した。
入部初日に私は、自分が大きな勘違いをしていた事を嫌というほど理解させられた。
誰一人、私が勝てる先輩など居なかった。同級生の中ですら私は一番ではなかった。私レベルの一年生はごろごろ居た。そして皆が皆「俺は日本一柔道が強い」と意気揚々と天理に入学し、結果練習に付いて行くことさえままならなかった。
「井の中の蛙、大海を知らず」とはまさに俺たちのこと!!と、この時ほど痛感したことはなかった。

 

そんな私も上級生になり、再び慢心し始めた頃のこと。
たまたまその日は天理大学の柔道部で、私たち高校生は出稽古をさせて頂いていた。
練習が始まり暫くして私は、金義泰先生(当時6段 東京オリンピック中量級 銅メダリスト)に稽古をつけてもらうことになった。
開始直後、私が先生の道着を掴みかけた瞬間、気が付けば私は呆然と天井を見上げ倒れていた。
何がなにやら分からないまま立ち上がり、再びそりぁー!!と向かって行くと、また私は天井を見上げ倒れているのである。

普通はなぜ自分が投げられたのか、どんな技で投げられたのかは分かるものなのだが、この時は結局最後まで、どんな技で投げられたのかも判断が出来ないまま、5分間の間、数え切れないぐらい投げ飛ばされるだけで終わった。
柔道を分かっていた気になっていたが、自分が習得したと思っていた柔道は氷山の一角で、その氷山の下には遥かに大きく深い世界があるのだという事を痛感し衝撃を受けた。

 

仕事もそうだが、人は同じ世界に長くいて経験を積むと、その世界を知ったような気になって慢心してしまいやすい。

けれどもそれは井戸の中の世界を知っているだけであって、大海ではないかもしれない・・・という不安を常に忘れず、慢心することなく2014年も精進して行こうと、今年最後のブログを綴りながら、新たに身を引き締めている次第であります。