三代目という十字架

現在の丸竹コーポレーションは、父の会社である繊維関係の会社と、私が立ち上げた会社である不動産事業(当時)&土木資材の会社、これらを合併させたものである。
以前にも書いたように、父が高齢になった為、私の会社が父の会社の事業も引き継ぐことになった。
私からしてみれば「吸収合併」であり、また私の代で事業規模の躍進を見させてて頂きつつあるという自負があるのだが、よく事情を知らない世間一般の方から見れば、やはり私は「三代目」なのである。
「三代目は身上を潰す」などの諺があるように、三代目という響きには、苦労知らずで軽薄なイメージが付き纏う。
会社を大きくさせても、「先代の基礎があったから」で済まされる。
事業に失敗すれば「やっぱり三代目は・・・」と馬鹿にされる。
どちらに転んでも良い評価を受けることが出来ない歯がゆさもあれば、創業者に優るとも劣らない重責を感じるのである。
これは、まさに三代目という「十字架」である。
しかし継がずに、自分が立ち上げた会社の事業にのみ専念するという選択肢を選ぶことも出来たはずなのに、最終決断をしたのは自分自身である。
だから先代からの事業を引き継ぐ決心をした時、 初代、二代の「徳と信用」を預からせて頂きながら三代目という十字架を戒めとして背負い、死に物狂いになろうとも会社を守って行こうと心に決めた

 

ところで現在の中小企業を取り巻く経営環境は、グローバル化とも相まって、日々変化を続けている。
時代の変化が穏やかだった頃は、昨日と同じことを真面目に今日も明日もこなせば何とかなっただろうが、色んなものが急速に変化する今の時代は、同じことをずっと続けているだけでは時代から取り残される。
先行きがますます不透明になって来ている昨今、経営者は、自社が今の業種で10年後も存続しているだろうか?という危機感を常に持っておくべきだ。
当社の主力商品は毛布だが、遠くない未来には、毛布の代わりになるテクノロジーが発明され、世の中の人達は毛布を必要としなくなるかもしれない。
極端な話だが、ありえることだ。

世の中は移り行くものだと認識して、常に「時代の先を読む」ことが、今の経営者の責務であると肝に命じなければならない。
あぁ、恐ろしい時代である。