大阿闍梨 酒井雄哉(ゆうさい)師

先般、平成25年9月23日、天台宗総本山 比叡山延暦寺一山長寿院 大阿闍梨 酒井 雄哉(ゆうさい)師が享年87歳でご逝去されました。
比叡山に伝わる命がけの荒行「千日回峰行」を2度も満行された高名な大阿闍梨さまであるがゆえ、師の詳細は省かせて頂く。


さて、師とお会いさせて頂いたのは2回である。
1回目はお会いさせて頂いたというより、御見掛けしたという感じである。
22、3歳の頃(1983~4年ころ)だったと思う。
比叡山に参拝に立ち寄らせて頂いた折のこと。
突然まわりの人がざわめき立ち、道が開いた。
何かと思うと酒井雄哉師が、たまたまお通りになられたのである。
「生き仏さま」と手を合わせ拝む人もいて、漏れ聞こえて来た話でその方が「千日回峰行」の酒井大阿闍梨さまだと判った。
小柄で慈愛に満ちた優しそうな眼差しの中にも、当時、私のような若輩でも感じ取れるほどの凄いオーラ、そして何か底知れぬ深みを感じた。
そして何故かそのとき理由は解らないが、あらためて将来、この師とまたお会いさせて頂ける予感がした。

 

時は流れて約30年後、再びお会い出来る機会が巡って来た。
永正山 正通寺 16世 竹内彰典師が主宰をされている「無我の会」という異業種交流会がある。
私は、創設時より正会員として参加させて頂いているのだが、その総会において酒井大阿闍梨さまをお招きして講演を賜ることになったのである。
その事を知って以降は、総会の日を一日千秋の想いで待った。


 昨年であるが平成24年6月5日、その時は訪れた。当日、竹内師に願い出て、酒井大阿闍梨さまの控室にお伺いして御挨拶をさせて頂いた。
その際に少しばかりお話させて頂くことが出来た。

私が手を合わせると、数珠で頭を撫ぜて下さった。
30年前に予感した事が、現実となった瞬間だった。

 


「人は間違いを繰り返しながらも、諦めずコツコツと生きて行ったら、何とかなっちゃう!無理だと思うことも、やってみればできるものです。」


講演の中でお話されていたこの言葉は、光栄にも私の座右の銘である「諦めず気が遠くなるまで繰り返す」と共通するものがあり、強く印象に残っている。

最後にもう一つ、私が感銘を受けたお言葉を。


「一日を一生と考え、一日を中心にやっていくと、今日一日全力を尽くして明日を迎えようと思えるものです。」

 

今は只々、ご冥福をお祈りするばかりです。合掌

<中央>

天台宗総本山 

比叡山延暦寺一山長寿院 

大阿闍梨 酒井雄哉師

 

<右>

永正山 正通寺 16世 

竹内彰典師

 

<左>