体育会系新入社員

昨今、体育会系出身の新入社員の需要が再び高まっているらしい。

私が学生時代に身を置いた奈良県天理高校は全寮制の学校であった。
そして柔道部専用の寮があり、1年、2年、3年生が各1名ずつ計3名の相部屋と決められていた。
その為、柔道の練習中だけではなく、24時間体制で厳しい上下関係の中にあった。
言葉使い、挨拶の仕方に始まり、掃除の仕方、礼儀、団体生活での協調性やマナーまで徹底的に教え込まれる。
また私の所属していた柔道部は全国優勝を目標に掲げている部であった為、誠に厳しい練習の日々であった。
私は2度の全国優勝を経験したが、そこに至るまでには全身全霊で努力をしたし、物凄く苦しかった。
お蔭であの時以上に苦しいことは未だに無いし、社会に出てから心底辛い事があっても「あの当時の練習に比べればマシだな」と思って気持ちを持ち直すことが出来ている。

 

私自身の話に反れてしまったので話を戻すと、体育会系出身者は入社する前からすでに礼儀や、組織の中の上下関係を学んでいるし、目標達成の為に努力する姿勢や、厳しい状況にも挫けない強い精神力など、社会人として必要なものを身につけている者が多いと思う。

また団体スポーツを経験した者はチームワークの大切さをよく知っている。
チームが優勝するためには、1つの目標に対して全員が一丸となって一人一人が我を捨て、いかにチームワークを保つかがカギになる。
レギュラー選手は、プレッシャーと戦いながら皆の想いを背負って戦うし、補欠の選手たちは陽の当たらない環境であってもチームに貢献しようと裏方の仕事を進んで引き受ける。
会社はチームであり組織である。

ということは対外的に厳しい競争社会を企業として生き残るために必要なのはやはり第一がチームワークである。
スポーツを通して集団生活を経験した者は、組織としてのチームプレイ全般をほぼ全て身に付けているのである。

従って学生時代にスポーツで切磋琢磨した人間は社員教育をすでに済ましてきているのと同じで、即戦力として戦線に立てる貴重な人材である。
昨今、体育会系学生が再び脚光を浴びだしたのも、厳しい経済情勢と相まって必然的な流れであろう。
とは言っても会社という組織は多種多様な人材によって構成されなくては柔軟になれず、社会の変化に対応出来ない。
様々な能力を持った人材が集まり、それぞれが自分の力を最大限発揮出来てこそ会社の成長はある。
組織作りとは、誠に難しいものである。